テレビか何かで「ヤクザ」を表す時には動作として、頬の辺りに指を滑らかに滑らせて傷を表現するものがあるという事を知った。
「へェ、そうなんだ」
程度の知識だった。それがまさかこんな形で私の脳裏を掠めるとは。


突然我が家のインターフォンが鳴った。
両親は外国に長期出張中。故に現在私は夢の一人暮らし!を満喫していたワケだが。

出てみるとそこには頬に傷を走らせているオールバックの男の人。

「…………」
「あァ、 だな?」
「…え、あの、そ、そうですけど」
「……知らない人間に名前を言い当てられても肯定するな。危なっかしい」

あなたが言ったクセに!!
そう言う私の嘆きは当然のように無視された。

いや、私が今気にしているのはそんな事ではない。
この目の前の男の人の左頬に走っている、とても強い印象を与えて来る傷。
どうみたって刃物で付けられたものとしか思えない。

「あ、あの」
「あ? 今からちょっと着いて来て欲しいんだが「やくざの方なんですか?」





そう発した瞬間に後悔した。
そして死ぬという覚悟さえも。











体感ハプニング

No.26















あとがき
ふと知ったので。そういう表現動作もあるんですね!
それを知ったら益々小十郎じゃないかともう気持ちが抑えきれなくなっちゃって←
最高じゃないか、ヤクザ小十郎。
しかし凄い度胸のある子になってしまった…(笑)。
2008.04.04