「あっ、や…! だ、駄目…っ!」
「何が駄目だ。随分感じているようだが?」
「あ……ぅ、んぁ…。は、なして…ぇ」

赤が私の視界を埋め尽くしている。
真っ赤で、綺麗な。
それが私の身体の上で蠢くのだ。
私の気持ちの良いとこばかりを刺激していく、憎らしい人。

「いゃ、です…っ!」

そんな、他の女もこの光景を見た事があるなんて。
体験した事があるなんて

考えたくない。

嫉妬の所為で狂いそうだという事は自分でも認めたくない奥底に秘められた真実。
だがそれを肯定してしまうとまるで私が敗けたかのような気分に陥りそうだから嫌だ。

全てはこの人が私に触れなければ良い事なのに。
今更何のつもりなのだろうか。

「し、しょ…」
「あ?」
「お願い、します……っ、は、なしてっ……!」

視線を彼の方に向けると、上から睨んだような目付きで見られた。
何だ、そんな目で見たいのは私の方だ。

、さっきも言ったが」
「っ、んやぁっ!」
「嫌々言いながら感じまくってここ濡らしてるお前は何なんだ」

それは

どうしてだろう。私の中では確かに拒否している筈なのに。
彼は私の気持ちが良いと感じるところばかりを重点的に責めて来る。
ポイント外したりして焦らして

この人は私に何をさせたいんだろう?

、俺を愛せ」

何を言うんだ、この人は。

「そんで、」




ぴたりとその場の空気が静まり返る。
さっきまでしていた“情事”に分類される行為が止まった途端に思考回路が正常に機能しだして羞恥心が激しく私の心の中を駆け巡る。
しかし師匠の今の言葉の所為で正常な思考に戻れない。何を言っているのか、この人は。
余りにもその目は普段のものとは違う、別の感情を奥底に秘めているような。






「俺を憎め」





この人はそれを私の目で見える表情と同じ感情で言ったんだろうか。




とても、楽しげで、切なげに。














愛憎カオス

No.50















あとがき
何故かこの人しか浮かばなかった、クロス元帥。
師弟の関係が大好きです。まァDグレなんでエクソシスト設定…の筈なんだけど、あまりその設定が活かされる機会がないというか…orz
クラウド元帥みたいに動物も一緒に戦うみたいな設定です。というかクラウド好きだ。えぇ、趣味です。
最近Dグレは脳内では順位が1.クロス元帥、2.ラビ、3.リーバー班長でっす。ラビはクロスのよって降格されちゃった…!!Σ(oдO)
2008.04.06