チビのチビなりの仕返し法。




「あ、の席取り忘れた」


これはささやかな嫌がらせだと思って良いですか? 先輩方。





「え、何でですか! 私一緒に観に行くって言いましたよね!?」
「確かに言った」
「よね!?」


今この状況で私に味方してくれる者なんて信長しかいない。でもどうせ信長もその内先輩の方に着くんだろうけど、そーいう奴なんだ。


「落ち着け。俺達が悪かった」
「とか言って本当は紳一だけが悪いんじゃねぇの?」
「ほらほら、。後ろにも席空いてるんだからよ」
「え……。後ろ……?」
「おう、後ろ」


今日はるばるやって来たのは、そりゃあ部員が行くから行かなきゃって理由もあったけどさ。ちょっと違う。超注目のカード、湘北VS綾南。この湘北には私の従兄弟と幼馴染がいる。その2人の勇姿見たさに今日は遠路遥々来たワケですが……後ろ…! 悠々と最前列を取っているお前らは何なんだ! と言ってやりたい。え、ちょっと、ひどくね?


「う、後ろはちょっと……」
「ん? 何かあったか? お前」
「いや、眼が悪いんで…良く見えない…」
「あっ、そー言えばそーだな。眼鏡持って来てねぇんだな。良し、。この信長様が一緒に座らせてや「前で立って観ていろ。」
「いや…それは嬉しい申し出なんですが…後ろの方の人とか見えなくね?」
「大丈夫だ。座ったからと云ってお前の身長如きで見えなくなったら随分落魄れ「だぁまれ老け顔!!!」


あー悪かったな!! 身長低くて悪かったなぁ!!! どうせ私はチビだよ!!! 高校生のクセに153ですよ!!! 悪いかコンチクショー!!!!


ピ――――――ッ!


「あ、始まった」
「ちょ、。お前少しは牧さんのフォローに回れ。落ち込んじまったんだぞ、お前の所為で。」
「放っとけ、紳一なんて。私は今から湘北の応援に徹するんだ!!」
「けっ、何で湘北なんざ……」
「従兄弟と幼馴染がいるんだもん」
「……へぇ。初耳」
「信長に言ったらキレそうだからね」
「あぁ!? そりゃ何だ!? 赤毛ザルか!!!?」
「いや、桜木くんじゃないから」











前半が終わったけど、どうも楓がおかしかった。妙にプレイが消極的だった気がする。寿の連続スリーポイントはかっこよかったし、満足! これだけなら充分後半で引っくり返せそうだ。


。お前、湘北に勝って欲しいのか?」
「そりゃそうだろ。それにしてもかっこ良かったよねー、寿の連続スリーポイントシュート!」
「いや、。お「多分楓は後半で押して来ると思うんだ。今閃いた。体力ないし。」
「…そうか…! それで流川は敢えて仙道に挑まなかったのか!」
「え、ちょ、そうなんスか、神さん……」


何かスッゲェ満足そうな顔してる神さんは取り敢えず置いといて。さて、2人に手ぇ振ったら気付くかな?


は何をしてるんだ?」
「何か念じてるんスよ、アイツ」


気付け〜、気付け〜、と視線を送ってから、小さく手を振った。2人共ちゃんと振り返してくれたよ!! っつーか念じてる最中に「おい、アレじゃね?」みたいな雰囲気にあっちはなってたんですがね。

それにしても楓のファンクラブの子達の声援が凄い。何か1つする度にキャーキャー騒いで。実際のところあーいう高い声は苦手だなぁ、なんて思いつつも、恋する乙女はあんなんなのか? などと考え込んでしまった。更に、楓程ではないが、男の人が何か『炎の男 三っちゃん』と描かれた旗を持って振っている。……あれはあれで凄い。


「うちは『常勝』だもんね」
「いきなり何の話だ、。」
「あ、ほら、ウチの学校のテーマとかじゃないんスか?」
「テーマが『常勝』かよ!?」
「え、違う!?」
「旗の文字の話だから!!!」
「お前達、少しは静かにしろ!!」


おのれ、老け顔…と呟くと信長から必死の形相で『黙ってろ』と凄まれました。






あとがき
昔の産物…。
海南が一番好きでしたね、確か。
湘北vs海南のラストは泣ける←