西浦高校、今日から私が3年間通う高校だ!!
01.目指せ夏空、甲子園
中学の始めの方は野球とはそこまで縁があるというワケでもなかった。
普通に別の部活に入ってたし。弟が小さい頃からやっていた野球も最初は全然興味とかなかったんだけど、夏のテレビで中継されている
甲子園の模様、ついでに面白い野球漫画にまで出逢ってしまい、こんなになるまで好きになってしまっていた。
弟のお陰で解らない専門用語だって解るようになった。この時だけは弟に感謝したのもだ(こんな時だけかよと癇癪を起こされたが)。正直
自分がここまで野球に熱中するものとは思っていなかった。ルールが解ると見ていて凄く楽しい! 親から勉強もそうなら良いのにと言わ
れるけど、勉強と野球は別物でしょ。
私の中学の野球部はそこそこ強かった。何回か中総体とかでも優勝を掠め取っていたし。県に出場した後は全校集会でも名前を呼ばれなか
った事から上位には食い込めなかった事は確かだ。中学2年頃、本格的に野球にハマり出したのは良いのだが、中学の野球部ではマネージャ
ーは取っていなくて、残念という形だった。友人からソフト部に誘われたりもしたけど、何となく断ってしまった。昔大して気にする事も
なく弟と散々キャッチボールだのしていたので、一応投げる力はある。弟からは「姉ちゃん実は男だろ」と言われるほど女子としてはキツ
い球を放っていたらしい。
部活は別に球技ではなかったけど、運動部だったし、身体も一応鍛えられてはある…んだけど、受験勉強でちょっと身体が鈍っちゃって妙
な感じだ。
私が今日から通うこの西浦高校は、今年から硬式になるようだ。ほ、本格的な野球…!!
グラウンドを見て決めた事もあるけど、制服代ナシという条件から考えても良い感じの学校だ。
入学式とか色々面倒な事が終わった後は部活選び。私は速攻で野球部に行くけどね!!
中学時代やっていた部活は校外部活で習い事のようなものだったし、高校生になった今でも練習をするだけなら出入りは可能。ただし高校
からは試合は試験はナシになっちゃうけど、仕方がない。たまに来る先輩達が頼りだ。身体を鈍らせない為にも!!
「ーっ! 良かったよ、同じクラスでー!!」
「そうだね、ー。同中少ないからねー」
「やっぱり野球部のマネージャーやんの? せっかくあ「何なに!? も野球部入んの!!?」
「え、あ、田島……く、」
「俺も俺も! 俺も野球部行くんだー! 一緒行こうぜ!!!」
「おっ、マジで!? 良かったー、1人は心細かったんだよ! よし、行こう!!」
「おー!!!」
「すご……。野球という接点だけでここまで一気に仲良くなれちゃうもんなのね……」
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何となく雰囲気的に田島はくん付けしなくても良い部類だ、私の中では。
大抵はくん付けないで苗字呼び捨てで呼んじゃうから楽だ。
「なーなー! はどこの中学だったんだよ?」
「ちょっ、アンタ自己紹介聞いてなかったでしょ!!」
「わりっ、寝てた!!」
お、おのれ…! ここまですっぱり言われちゃうと怒れない……っ!!
「あ、そう言えば田島ってどっかシニアとか入ってた?」
「入ってたぜー。荒川シー・ブリームスっての!」
「ふーん……ってそれうちの弟のチームだ!!」
「え、マジで!? って事は亮太の姉ちゃん!?」
「そうそう!! あっ、亮太が言ってた田島先輩って田島のことかー!!!」
「マジかよー、亮太の姉貴か!! あー、そう言やたまに広場で亮太とキャッチボールしてたろ?」
「え、見られてたの!?」
「女にしちゃえらく早い球投げるなーと思ってさ!」
「……やっぱり他の人にもそう見えちゃうのか…!」
とにかくいつもいっぱいいっぱいで投げてたから良く解らない。相手のミットに届けば良いとだけ思ってたし。
あれか、暗に私が女の規格を越えているとでも言いたいのか。
「ま、これも何かの縁だ! 仲良くやろうぜ!!」
「うん!」
グラウンドが見えて来て、もう何人かいるな、と思いながら田島に野球部での目標を訊いた後、私は仰天しつつもそれ私も同じ目標!だな
んて言ってしまう。
選手じゃないけど頑張るの!!
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始めちゃったお題…! す、素敵なお題を見つけてしまったもので…!!!
あまりの興奮状態にお題発見してから30分程度で1話目を書き上げてしまいました。
私にしては珍しく西浦。……大丈夫だろうか…っ!!! 比較的西浦の方がこのお題は良いかなーと思ったんです。
途中で学校とか時間背景とか変わっちゃったりしてもそこはご愛嬌で(無理だろ)。
突発的に桐青とかになったりしても大目に見てやって下さ……っ!!orz
2007.8.4