何の力か




「あ。」
「あ、ちゃん」
「……天狐仮面って呼んだ方が良い?」
「ちょっとそれについては何も言わないで!!」


私がふと廊下を歩いていたら、一つの部屋の襖が開いていて、覗いてみるとそこにいたのは佐助だった。
お面着けてるけど。


「あははっ。かーわいいよ」
「これ結構恥ずかしいんだからね」
「そうなの?」
「じゃあちゃんにも解らせてあげよーう」


そう言うと突然佐助はその面を外し、次の瞬間には私の顔に違和感。
あ、着けられた。


「……前見にくい。と言うか殆ど見えない」
「そりゃあねー。一般人には結構大変だと思うよ」
「ふーん…。それにしてもこれだけで誰だか解らない幸村さんってさ…
「………ね。」
「顔だけで人間識別してんのかな」
「…、やってみる?」
「何を」
「そこ格好で旦那の前に出てみなよ。いつもと違った旦那が見れるぜ」


一瞬何だそりゃとも思ったが、確かに楽しそうではあるので佐助の掌で踊ってやろうと思う。


「解った。幸村さんどんな反応してくれるか楽しみ〜っ。佐助の時って結局気付かなかったんでしょ?」
「そー。最初から最後まで天狐仮面は俺様の友達設定」
「じゃあ私もの友達設定で行こうかな」
「えー、被る」
「何でそこで拗ねるの!?」


変なところで佐助は拗ねるんだから。本当に読めないし。
その声が大きかった所為なのかは知らないが、私が入って来る時に閉めた襖が勢い良くスパンと開いた。
そこにいたのは





「佐助ェ!!!」





赤い





「旦那…!?」








幸村さんでした。





(ぎゃあああ佐助どうしよう! 私じゃもうこれ無理だ!!)
(いや大丈夫だって! まだ顔見られてないし。仮面外す前で良かったね!!)
(何が良いのよ!? 私にだって心の準備ってモンが要るの!!!)
(またまたァ〜。ちゃんは度胸が売りなんでしょうが)
(何よその勝手な設定)


小声でひそひそと話している私達に、幸村さんは不思議そうに再度声をかけた。


「何をしておる?」
「いっ、いや! だ、旦那こそ、どうかしたの?」
殿の姿が見えないと思ったのだが……」


(おぉい好機じゃん! よし、今だよ
(無理ーっ! まだ準備が…!)
(お前っ…! どんだけ心の準備に時間を要してるんだよ!?)
(最低でも一刻は必要よね)
(長っ!!!?)


「ここに居ったのだな、殿!!」
「………え?」
「い、いや、旦那違うよ? これは俺様と同郷の出身の「殿であろう? 何故佐助の友人の面を着けているのでござるか?」
「な、何で解るの……?」
「? 何でござるか」


どうして佐助は解らなかったクセに私のは一瞬で解るワケ!?
何ですか、そんなに顔以外に憶え易い特徴とかあったかな…。でも佐助もお館様の時も戦装束のまんまだったのに気付かなかったし…! あれェ!?














結局真実は闇の中。






あとがき
もうすっごい衝撃を受けてましたから、英雄外伝。
結構前から案はあったんですけど……中途半端!!!
短いのはいつもの事です。幸村夢って事にしてるけど佐助ばっかりですね。orz
2008.05.03