とうとうテスト返却という最悪の日がやって来た。
私の得意科目は国語、苦手科目は数学。
その他の教科を見比べても私は完璧に文系に当て嵌まる人間だ。
そして私の隣の席にいる野球部でピッチャーの高瀬準太。
コイツは私と全く真逆の人間で、数学ってか理数系の方が得意という奴。
何とも私の敵になり易いタイプなのだが幼馴染。
どうして似たような環境で育って来た筈なのにこんなに得意科目に差が出たかなァ!?(そりゃあ、色々違いは多いけども、その辺の人よりは似たような環境下だったのに)
「おい。お前さっきの国語の点数何点だったかいい加減教えろよ」
「……この時間でアンタの数学の点数が解ったらね」
「どーせ敗けてるって解ってるのにな」
「うるっさいなァ、前向け! 先生に怒られても「!!」……私がかよ…!」
最悪だ。なんて要領の良い奴、我が幼馴染。それ故に私はお前のそんなところが大嫌いだ!!
どーして奴の非を私が怒られなければならないのか!!
きっとそれは単に私よりも奴の方が教師受けが良いからだ。そりゃーあの顔だし、野球部でかなり活躍してるらしいしー。
……くそ、何だこの虚しさは。
「ばーか。」
「うっせ。」
「じゃあテスト返すぞー。名前順だからさっさと1番から取りに来ーい」
さぁ、始まったぞ勝負が!!
事実勝負などもう試験当日についているようなものなのだがそんな事関係ない!!
勉強しないでマンガ読んでゲームしてドラマ観てたけど何だろうこの勝てるかもというような自信!!!
トントン、と机を指で叩かれ顔を上げればそこには準太。
返却された解答用紙を2枚畳んで持っていて、私に冷ややかな視線を向けながら、アレか、嫌味の1つでも言うつもりか。私だって受けて立っ「お前順番回って来てる」
「ああああああすいません先生今行きますから違います寝てません数学の考え事してましたァァアアアア点数公開しちゃ駄目ェェェェエエエエ!!!!!」
叫びながら必死で先生から回答用紙を奪い返すと、「数学の考え事するなら次はもっとまともな点数取れ!」と厳しいお言葉を頂いてしまった。
……ごもっともで。
席に着いて隣からちゃちゃを入れて来る準太なんてシカトして、ソロ〜っと紙を捲って点数の在りかを探す。
出来れば“8”とか“9”とか四捨五入したら上にいけちゃう数字ばっかりなのを期待します!無駄だけど!!!
・・・・・・・・・・・・。
パタン。
「、お前結局何点?」
「……やっべぇぇぇえええ」
「……来年はお前の大好きな利央と同じクラスの可能性が高いぞ、良かったな」
「それはサラッと留年を意味してるよね準太くんやめてくれないかなそーいうひどい妄想」
「妄想じゃねェよ、近い将来の予想をしてるだけだ」
「ふざけんなァァァアアア!! 私はそんな目には遭ったりなどしない、絶対にするもんか。国語という味方がある限り私の背後には必ず『仮進級』の文字が付き纏う!!!」
「お前……仮進級とか言ってる時点でヤバいっつーかどうしようもねェっつーか可哀相な奴だな……」
「ホントこいつマジでどっか行ってくれねェかな。和サンのとことか行けよ」
「俺は和さんに迷惑かけたくないんだよ」
「何だよコイツもうホント消えてくれよ」
明確な答えを出す事に
躊躇いを持つ人間こそ
あとがき
ありがちな話。
幼馴染はこーいう感じもあると思います。仲は良いの、仲は。
何と30分程度で仕上げたという裏話あり。
実際に入れたかったネタを入れられなかった…!orz
2008/10/12