今日から一週間はテスト休み。
取り敢えず予定としてはひたすら引き篭もって寝ようかな。
何となく皆して部室に来てしまったので、無意味に監督に注意され帰ろうとしてたら利央からまさかのお誘いがかかった。
「ねー、サン!! この後ゲーセン行きませんか!?」
「おい、利央。テ「マジで!? 良いね、行こう行こう!!!」
「………」
「いーじゃーん。せっかくのテスト休みだよ!? 私は自由になるのさー!!」
「行きましょ、サン!!」
「おうよ!!!」
「行っちゃいましたよ、慎吾サン」
「〜〜〜っ、あ・の・ヤ・ロ・オォォオオオオっ!!!! オレとの焼肉食いに行く約束忘れてやがるっ!!!」
「焼肉ッスか!?」
・
・
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「おぉ〜う、久々なゲーセンだー」
「ねっ、サン! あれ欲しくありません!?」
「ん? あぁ……ってホワイトタイガーのぬいぐるみ!!?」
「そッスよ〜」
「ほ、欲しい欲しい!!」
「じゃ、俺取ってあげますよ!」
「マジで!? 利央上手いの!?」
「勿論ッスよー。よし、やりましょ!」
「頑張れ、利央!!」
ガチャッ
ウィーン…
スカッ
「あ、あれ〜?」
「………」
駄目だ、この子! と思ったのは内緒にしとこうと思います。
だってスカし方が異常だったんだもん!!! 1回目で判る。この子は下手だ。
「も、もう1回!!」
「んー」
ガチャッ
ウィーン…
カチャッ スカッ
「…駄目じゃん。」
「ちょっ、そんな恐い顔しないで下さいよ! 般若、般若!!」
「お前ら何やってんの。」
「あっ、慎吾!」
「下手クソだなー、りおー」
「仕方ないじゃないスか!!」
「昔偉い人は言いました。」
「サン?」
「ん? 何て言ったんだ?」
「『UFOキャッチャーは貯金箱である』と……」
「あぁ、言えてるな。」
「む〜っ!!」
「あ、ねぇ慎吾。あれ取れない?」
「あ? ………………………………………虎?」
「YES!! 利央が取るって言ったクセに結局取れなくてさ〜。っつーか無駄に間が空いたな」
「放っといて下さい!!」
「ふーん。後で取ってやるよ。それよか格ゲーやろうぜ」
「し、慎吾おま…!! ナチュラルにカッコイイな…!!!」
「今頃気付いたのかー」
「し、慎吾サンばっかり…!!」
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・
・
そして私達は格ゲー方面へ向かった。この空気が何か好きだったりするんだよね。
ガン系統ものにも惹かれたけど、後回しだ。今は慎吾との対戦格ゲー!
「フハハ、慎吾! 私に勝てると思って格ゲーを選んだのならお前は馬鹿だ!!」
「お前が馬鹿だよ。格ゲーでオレに勝てると思うなよ?」
「その台詞そっくりそのまま返しますぜ垂れ目。」
「黙れ。」
そして無言で開始された格ゲー対決。コイツには何か負けたくない!!!
「…うっわ、サンすげっ!! わっ、コンボコンボ!! 大技決まった!!!」
WINNER PLAYER 1!!
「ハンッ。格ゲーで私に勝とうという精神が甘いね、精神が」
「精神レベルの問題かよ、これ。っつーか強っ。、お前女のクセになんでこんな格ゲー強ぇんだよ」
「ゲームに男も女も関係なしです。勉強時間全てゲームに当ててたらそりゃ強くもなるわよ。」
「お前生活リズム今のうちに直せ、おかしくなるぞ。」
「ねぇ、とにかくあれ取ってよ、ホワイトタイガー」
「あ? 何、お前マジであれ欲しいの?」
「うん。」
「……女子高生がUFOキャッチャーで欲しがるぬいぐるみの種類とは思えんな」
「ピンクのファンシーなウサギなんかに興味ないわ、私。」
「はいはい、取れば良いんだろー…。持って帰る気? 堂々と?」
「見せびらかしながら歩いてやるわよ」
「恥ずかしいからやめなさい。隣にいるオレ達の身にもなれ」
「良いから早く取ってよ」
「へーへー」
「りーおー、今から慎吾が絶対にあのぬいぐるみ取ってやるから見てろだって」
「どうせ慎吾サンにも取れませんって」
「利央、先輩を馬鹿にするのは許されんぞ。っつーか、無駄に絶対とか強調してんじゃねぇよ、緊張すっだろ。」
「それを狙ってんのよ、馬鹿者めが!!」
「てめっ……!!」
とにかく無理矢理にでも慎吾をさっきのUFOキャッチャーの前に連れて来た。意地でも取って貰うんだから。
「絶対に取ってよ。私の部屋のオアシスになるんだから。」
「お前のオアシスは虎なのか。逆に安心出来なさそうだな、おい」
「出来るに決まっとるじゃろがいボケがぁああああ!!!! 虎なめんじゃねぇぞ、ぼけぇ!!!」
「何でオレこんな怒られなきゃなんねぇの!?」
・
・
・
「まさか慎吾がUFOキャッチャー上手だったとはね!! びっくりだ!!」
「へーへー」
「心ここにあらずですな〜。どした、女の子にでもフラれたか。そっか、お前もこれでちょっとは自分が完璧な人間ではないとい
う事を理解しただろ。」
「お前どんだけ嫌な人間なんだよ。いやー、フラれたっつーか…ドタキャンされたっつーか、デートすっぽかされたっつーか」
「あっははははははっははっは!!!! それはそれは!! 残念でしたなぁ!!! ねぇ、ティグレ!!」
「それは何だ、お前の抱いてる虎のぬいぐるみの名前か。」
「そうだよ。イタリア語で虎ってティグレって言うんだよ。だから」
「無駄なとこだけ博識………。っつーかお前心当たりないワケ?」
「は? 何が? 何のこと?」
「……テスト休みの初日目。」
「今日だね」
「これで何も思い出さないのか」
そ、そんな恐い顔で言われたって何もないよ…!!
ね、ねぇティグレ?(ぬいぐるみへの問いかけ)
大体なんでこいつこんなに機嫌悪いんですか。やっぱり女の子にドタキャンされたからか。あはは、良い気味だ。
「肉」
「何、いやがらせ? セクハラ?」
「なんでだよ」
「そういやこの間社会の公民のテストでさー、とある解答欄に『セクハラ』って書いたら間違いじゃないけどって言われて『セクシ
ャルハラスメント』とか書き直されてさー。最近の子がそこまで詳しく知ってるワケないじゃんねぇ」
「話逸れてるぞ」
「えぇっと…かほちゃん?」
「誰それ」
「だから、今日ドタキャンされた子」
「違う」
「えと…利央のクラスのちなつちゃん!」
「違う」
「……えー…準太のクラスの秋吉さん」
「違うっつの」
「…あんたのクラスの宮元さん!」
「違ぇ!!!」
「……久野ちゃん」
「………………………」
「…なみちゃん」
「………………………………」
「あー!? えーっと…!! あ、私の「それ。」
「いや、まだ言ってないし。あの、ほら、皆本さんでしょ?」
「違う」
「何だとーっ!? 今『それ』っつったじゃん!!!」
「違うんだよ」
ま、マぁジで腹立つぜ…!! ワケわかんねぇよ、コイツ…!!!
利央とは既にゲーセンで別れちゃってて怒りの矛先を向ける人間が私しかいないのは確か。
なんだよ、そんなに私に恨みでもあんのか。
「えー、誰ー。あぁ、なかもっさん?」
「誰ソレ。」
「ほら、私の隣のクラスにさぁ、中本って子いるじゃん。その子だよ、なかもっさん」
「……かわいそうなあだ名つけちゃってまぁ……」
「かっ、かわいそうじゃないよ!! あんたもさり気なく酷いね!!!」
「全然? で、結局誰か解ったワケ?」
「え、なかもっさんじゃなかったのか。えーっと……」
「、オレの顔よーく見ろ」
「何故に。んー…? コレで何?」
「そのまま今日の予定について思い出せ」
「よ、予定……? ただテストで部活が休みだから家帰って惰眠を貪ろうと思ってたら利央にゲーセンに誘われて…」
「その前に!! 何かあったろ、用事が!!!」
「はぁ!? っつーかアンタがそこまで怒るって事はアンタ絡みなワケね!!!」
「そうだよ、さっさと察しろよ。」
「何でそんなに偉そうなのさ。えー……」
思い出せ自分。まず慎吾が自ら私に言って来るという事は私と慎吾絡みの約束である事は確かだ。
えぇっと、テスト休み初日でしょ……あー…あー、何か来てるよ。もうちょっとで思い出せそう…!
慎吾と約束……慎吾と…!!!
「あぁっ!!!!」
「やっと思い出したか」
「慎吾とビビンバ食いに行く約束してた!!」
「ビビンバじゃねぇよ、焼肉だっつの。」
「あっちゃー、しまった。もう殆ど時間ないね。明日とかどうよ」
「いや、今日行くぞ」
「何アンタ、そんなに肉食いたいワケ? 肉依存症?」
「ってホントサラッと頭に来る言葉言うよなー。今日は確か安いんだよ」
「何で?」
「理由は忘れた」
取り敢えず、という形で私は慎吾に焼肉屋に連れて行かれた。食べるんならお母さんに電話して言っとかなきゃ。
行ったら、どうやら今日はカップルが安い日らしく、それを慎吾は何となく覚えてたんだろうなぁーと感心した。別にカップルとか
そういう関係ではないけどね!
店を出る直前、しまったティグレ(ぬいぐるみ)に焼肉の匂い染み付いちゃった!!!! と途轍もなくショックを受けて泣きそう
になった私を店先で必死に宥める慎吾がいたというのはまた別の話。
⇒中途半端だったんで一応最後の方をまとめて付け足したもの。
うーん……不完全燃焼?(訊くなよ) しかしこれ以上思い浮かばない…orz
あー、どうしてアニメは原作に忠実に作ってあるのにこんなに楽しめるんだ。内容知ってるのに!!
そこが凄いなぁ、アニメというか、おお振り。
2007.8.30