小さい頃からそう思っていた。
その頃から俺は自分のものは明確に自分のものだと周りに示したかったらしい。
アイツが、誰にでも同じような顔をするから。
アイツが、俺以外の男に行こうとするから。
アイツが、俺から離れて行こうとするから―――。
外には一切漏らしていない俺の心の中だけのドス黒いモンは、日に日に積み重なっていく。
それでもアイツは俺の事なんて気にせずに、他の男に笑顔を振り撒く。
ほら、その顔。
ソレが俺は、大嫌いだ。
「!!」
俺が少し声を張り上げて名前を呼べば、ピクリと反応したアイツが振り返って俺に笑顔を向けながら走り寄ってくる。
この笑顔が、俺だけのものならば良い。
そうしたら、俺の中のこのドス黒いものも消えるだろう。
幼い頃から積み上げられてきたモノ。それが早々に消え去ってくれる事を俺は切に願ってる。
それが出来るのは、お前だけなんだぜ?
「どうしたの? 元希」
「お前、今日は帰ってから何かあんの?」
「今日? 別に……あ! 録画しておいた子連れおおか「ないんだな。」
「失礼な! 私今普通に言ってたじゃん!! 今日私はあれで号泣するのー! 全て吐き出すの!!」
そんな時代劇を見ただけで号泣出来るのか。あぁ、コイツは出来るな。
そんなんで自分の中の醜いものが全て外に出て行くのだろうか。もしもそうなら俺だってとっくにしている。
コイツは昔から良くドラマやら色々見てしょっちゅう隣で泣いていた記憶がある。
その時俺の腕にしがみ付きながら泣いているのは良かったが、その涙がテレビの向こうの奴の為に流されているのかと
思うとイライラする。
あ? 独占欲が強過ぎる? そんなん、今更だろ。
「何? 元希、私に何か用でもあったの?」
「……別に。やっぱ良いや」
「えー、教えてよー。中途半端って何か駄目なんだよ。モヤッとするんだよ」
「……お前、大方IQ○プリでも見てたろ」
「それを言うって事は元希くんも見てたでしょう」
ニヤニヤとして来るに、俺が軽く笑ってやったらも微笑んだ。
そう、その表情。
この瞬間だけが、俺だけがの中にいると思える。
俺を見て、微笑んで、俺を見て、泣いて。
コイツの泣き顔は凄く見ていて嬉しい。例え泣かせた張本人が俺で、理由が“感動”とかじゃなくて“恐怖”だとしても。
「じゃあ今日は特別に元希の家へ行ってあげます」
「何だそれ。っつーか来んなよ」
「ひっど! 自分から予定訊いて来たクセに!!」
「いや、何かマジでもうどうでも良いや」
「いやいや、その顔はきっと何かに疲れてる顔だよ。私が悩みを拭い去って進ぜよう!!」
「お前何様のつもりなワケ?」
「元希よりは俺様ではないつもり」
「テッメ……!!!」
「あはは! それでは9時頃に窓から参上するよ!」
「いや、来んなって!!!」
「元希は天邪鬼だから逆の事をすれば喜ぶでしょーっ」
そう言いながら、はマネージャーとしての仕事に戻って行った。
……俺は、天邪鬼なんだろうか。
の身勝手な言葉で俺は数分そこに立ったままだった。
⇒
え…何なのこれは…!(自分で書いといて) 何かその時の気分で…シリアスちっくになっちゃっいました。
ぎゃ、ギャグを求めてる人はここは読んでないよね! 注意書きしたしね!!(不安)
全体的にこれぐらいのレベル(?)で進みます。基本的榛名視点。あ、後半はまだ明るめかも?
2007.10.8