捕らえたつもりでいた。
コイツは俺以外の奴のもとへ行けないんだと。
あの時、総てを手に入れたつもりでいた。
総ての所有権は俺にあるのだと。
それは、全くの間違いだったのだ。
あの日の夜、俺が当然のようにを抱き締めたように、も昨日の事を当然のように思っていた。
所詮我侭を言う子供をあやしている気分だったんだろうか。
多分、いやきっとそうなのだ。
挙げ句の果てにアイツは俺の腕の中で向かい合わせになった後、背中を擦ったりポンポンと軽く叩いたりしていた。
……確実に男に見られていない感覚だ。
あー、思い出したら腹立つ!!!
「うぉーい、もーときーぃ」
「んだよ、間延びした呼び方すんじゃねぇ」
中休みに入って早々、A組からがやって来た。
どうせ何か忘れ物でもしたんだろ。
俺は口答えしながら席を立ち、入り口のドアのところにいるへ向かった。
顔、ニヤけてねぇ?
口元、吊り上がったりしてねぇ?
「良いじゃん、いつもじゃん」
「マトモな呼び方しねぇな、お前」
「それがちゃんの良いところ!!」
「どこがだよ。」
「いやん、元希くん不機嫌絶頂? 昨日は子供みたいに「うっせぇ」
今の言動で良く解った。やっぱりアイツ、昨日の事どうとも思ってねぇ。結局子供扱いかよ、俺は。
自分の言葉を途中で遮られた事に腹が立ったのか、散々喚いているので俺はマトモに話を聞いてやる事にした。
俺って優しくねぇ?
「で、今度は何忘れたんだよ」
「おー、さっすが元希くん。話が解るね! ちょろっと現国の教科書を…」
「あ、俺のクラス今日現国ねぇわ」
「うそ!?」
「うそ。」
「だ、騙したねノーコンピッチャー…!!!」
「ノーコンじゃねぇよ、ノーコンじゃ。」
「ノーコンじゃん。練習見てて解るもん。元希ノーコンじゃん!」
そう言うとはまた俺に怒鳴られるだろうと思ってか戦闘体制に入ったが、俺は別に怒ろうとか思わなかった。
練習を見てて、俺がノーコンだと解る。つまり、俺を見てたんだろ?
速球でカバーしても解るほどに、俺を見てたんだろ?
昔からの付き合いだけじゃ、絶対に解らない部分だってある筈だ。
「ま、良いけど」
「へ?」
「あ、俺英和辞書ねぇんだわ」
「! それならある! 貸してあげるから現国の貸してぇぇええ」
「あー、解った解った。まず英和辞書とって来い」
「ウィッス! 現国の準備しといてね!!」
「おー」
が自分のクラスにもう1度戻って、俺も後ろのロッカーに行って現国の教科書を取り出そうとした。
ヤベェ、自分でも解るぐらい口元が吊り上がって嬉しそうな顔してる。
⇒
またもや榛名を(略)。
うーん、もうちょっと良い感じな……? 今までのの比べたらまだ明るめだと思います。(ちょい浮上)
それにしても榛名心の中で名前呼び過ぎじゃなかろうか(自分でそうさせといて)。
2007.10.10