そう、俺は、
強欲なんだ。
の中の絶対的な存在が俺になっている事は確か。
あの頃の恐怖をも俺も忘れてなどいない。
だからこそ、互いの存在が絶対なのだ。
多少はオーバーに聞こえるかも知れないが、幼い頃の洗脳的なものはいくら歳を積み重ねても消えない。
互いの存在は絶対。
失ったら自分が自分じゃなくなる。
最近の俺は今まで以上にイライラしていた。
を完璧なまでに手に入れた今、まるで隔離したいような衝動に駆られる。
その瞳に他の奴が映るなんて許せるワケがない。
なぁ、俺だけを見続けて、だなんて、無理な話だ。
ここは男女共学の高校の武蔵野第一だし、当然アイツは俺とクラスも違う。
にだってクラスで会話する男子ぐらいいるだろう。
それにさえも、嫉妬という感覚を憶える。
そう言えば何かの本で書いてあったが、小さい頃から何かをすると褒められる、などと特定の事を思い込んで育った人間
は大人になっても周りの状況を常に窺い、他人に気に入らたいと思いその人間に尽くすらしい。
この間図書室に行って珍しく読んだ本が、こんな内容だった。
何となく気になっただけだったんだけど、結局は読んでしまった。秋丸からは異常な目で見られた(あの目はぜってぇ忘れ
ねぇ)。
俺もも、少なからず遠からずこのような例に当て嵌まるんだろう。
子供の頃あのあの恐ろしい感覚。嫌われるという時感じた絶望。あれを二度と味わいたくないからだ。
気に入られる為に、何かをするワケではないが、一応ある程度には尽くしてるつもり。
それにしても日々俺はSなんだなぁとしみじみと思う。
に対してのみ、かも知れないが。
何故かアイツの泣く顔が好き。嫌がる事をするのが好き。別に重度のいじめとかそーいうワケじゃなくて。
からかう、程度なんだけど。
別の女と付き合うという事をに告げてみたら、思いの外アイツは妙に落ち着いていた。
「そう、良かったね!」なんて言われたら、俺の方がキレるに決まってんだろ(理不尽って事は解ってるっつの)。
あ、A組が外でサッカーしている。
のほほんとそれを眺めていると、を見つけた。
基本的にアイツはスポーツ出来ない。
そのクセサッカーだけは得意。でも1番好きなのは野球という変わった奴だ。
あ、点入れた。
ホントに投げるのはヘタクソのクセに蹴るのだけは上手い。異常に上手い。
ニコニコと笑っていると一瞬だけ目があった―――気がした。
「榛名! 次のところを読んでみろ!」
……最悪。
・
・
・
「え、元希怒られたの?」
信じられないという口調のクセに、表情は「あー、ありえる」って顔してやがる。
「お前の所為だ」
「何でよ。なに、よそ見でもしてたの? 居眠りしてた?」
「んー…。前者。」
「よそ見ねぇ…。あ、どうせ私のクラスが外で体育やってるの見て動きたいって思ったんでしょ!!」
これだ!って満足げな顔では俺に詰め寄った。
俺まだ飯食ってんだけど。
「いや、お前見てた」
「わお、元希くんさり気なくこっ恥ずかしいこと言っちゃってるって気付いてる?」
「別に。何でそれぐらいで恥ずかしがらなきゃ……何お前。顔赤いわニヤニヤしてるわでキモいんだけど。」
「キモい!? ちょっ、それは素直にひどいな!」
「へーへー。あ、」
「ん?」
「俺、お前の事好きだ。」
「ん、知ってる」
……いきなり何言っちゃってんの俺。
っつーかも何!? 知ってるってどーいう!?
確かにが大事だと思っていたし、そーいう自覚もあったけど!!!
……好き……!?
「私ね! 元希の事1番だからね!! あの約束忘れてないんだから!!」
屋上で、陰の中でニコニコしながらは言った。
互いを絶対的な存在にしたあの約束―――。
「ああ、俺も」
そしてそのまま、その目に誰も映さなければ良い。
無理ってんだろ? 知ってるよ。今はまだ。
ほら、俺が、捕まえた。
⇒
どこで予定が狂ったの自分…!!!
何かラブコメぽくなって…!!orz しかも最後の方ワケ解らん(もう見逃してやって下さい)。
続編…どうしましょう。取り敢えず反響があれば考えてみたいと思います。(前半あんなにダークなのに)
2007.10.12