私損ばっかりしてる気がする。



















苦手なモノ



















「何これおかしいよ!! いやマジで!! 何かの拷問としか取れないよこれ!!! 何かな、和サンはこの間私が醤油の上にご飯乗っけたのまだ怒ってるのかな…

醤油の上にご飯!? ちょっ、おま…マジでどうやって生きてんだよ…

「う、うるさいな! 卵のせ忘れただけじゃん!! ねぇ、気のせいかな、アンタのロッカー辺りからやらしい雰囲気駄々漏れなんですが。」

「やらしい雰囲気って何だよ!? 別に普通だろうが!!!」

「いや、何かさ……アンタのロッカーって絶対エロ本とかあり「ねぇよ。」









ちなみにどうして私がこんな部室掃除という不憫な目に合わせられているかと、ちょっと昨日の事まで遡ります。
















***
















「よし、今日はこれで上がろう!」









和サンのその言葉で皆して一斉に部室へと雪崩れ込んだ。さながら何かの参勤交代のようですな。あ、いや全然違うか。

そして最初に利央と迅が早々と部室のドアを開けた瞬間、事件は起こった。

そう、最悪の事件がな!!!











うっげぇ!? ちょっ、何この匂い!! マジくせぇ!!!!」

「……うわ。」

「え、マジで? …うぇっ、何これマジくせっ!! アンタらこんな中で生活してんのか!! すげぇな!!!」

「住んでねぇよ。」

「うわー、凄い匂いだなぁ」











1年コンビに引き続いて部室にちょっと顔を突っ込んだ私の頭上で慎吾や和サンが口々に色々言っている。

というか迅のリアクションが正直小さ過ぎてちょい残念。

湿気続きのジメジメした時期だと部室はあっという間に惨状と化す。最悪だ。











「何これ汗? 水か? あ、これ血かな。

「利央!? ちょっ、何言いだすかなこの子は。部室に血なんて何であるってマジだ!! しかも黒く変色してる!!!

利央、良くこれ血だって解ったね。見慣れてるの? きっと将来有望な警察犬になれるよ。

「警察犬って何スか!! 犬じゃないですよ!!! ちょっ、頭撫でないで下さいよっ!!!」

「ちくしょー、身長高過ぎんだよお前。すっごい今私必死なんだけど。」

「随分時間経ってんじゃないスか、この血」

「準太…! ちょ、アレだねコレ。そう、アレだよ、アレ。コレ」

「お前マジ何言ってんのか解んねぇ。」

「慎吾さっきから煩い!! こう…コナンみたいですよね…!

「おい、誰かそこで1人この状況を楽しんでる奴をこの異臭漂う部室の中に突っ込め」

鬼ー!? あんた鬼だ!! いやいやいや、この状況はアレだよ、うん」

「そこで『金田一少年』とか言うのなら俺はお前のボキャブラリの少なさに同情する。」

「…………バッキャロウ!!!」














































コナン風に「ばかやろう」と言ったところ、何故か慎吾がキレ出して、数分間慎吾と取っ組み合いの喧嘩をした結果、

コブラツイストでも決めたら少しは大人しくなったんでまぁ良いかなと思います。











「よし、仕方ないな。じゃあ。マネージャーだし明日にでも部室掃除しといて」

「はぁっ!? こ、この部屋をですかい!?」

「うん。」

「うん、てアンタ…!!」











和サンはあぁ見えて結構厳しいというのは本当でした。でもひどいよ。この部屋1人で!?









「チクショウ和サン! 女子には優しいとかいうのは嘘か!!」

「・・・・・・・・・・・・え?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」































つまり私は女ではないと……っ!!!!!






















































そんな感じで冒頭へと戻ります。慎吾が復活しやがったのが気に食わない。そのままこの部室にでも根を生やせば良かったのに。


でも確かに最近和サン酷い。何か。そんなにこの間目玉焼きに塩こしょう+マヨネーズしたのが気に食わなかったのかな。

仕方ないじゃん。我が家はあれで目玉焼きを食べるんだもの。他の家の常識なんて我が家に来てしまえば何の意味もありません。
家じゃ家が法律だもの……世知辛い世の中…っ!!

つまりいくら自分の拘りが目玉焼きには醤油だからってそれを人に押し付けるのはどうかと思うワケですよ私は。









「あー、あれだな。ここは」

、お前さっきから代名詞ばっかりだぞ」

「解ってるよ、垂れ目。」

「うるせぇよ寸胴。」




「「・・・・・・・・・・・・」」











殺されたいのかな、この人は。

さっきのコブラツイストじゃまだ足りなかったようです。アルゼンチンバックブリーカーでも決めてやろうか。











「もー良い。っつーか何故黒く変色した血があるんですかね、この部室は。おぞましい…!!

「どーせ鼻血だろ。ボールが鼻にでも激突したんだろ」

「うわっ、そりゃ痛い…!!!」

「すっげー、カピカピだ。触ったら風化してくぜ、これ」

「ねぇ、楽しい? それやってて楽しい?」

「別に。」

「さり気なく恐いことしますね、君は。誰が出したのか解らない血痕をよく手で風化させようとするよな。すげぇ」

「普通だろ、こんなもん」

「っつーか何でアンタここにいるの? 昼休みなんだから遊んで来れば?」

「んー? 何その態度。せっかくが1人では大変だろうと思って手伝いに来てやったのに」

「嘘だろ。」

おう。いやー、部活開始までこの現状が続くと良い加減イラッと来んじゃん?」

「つまり部活開始まで私は何も出来ずにいる事を想定していると?」

「そ。ガサ入れされたら困るしなー」

「しないわよ、アンタのなんて。どうせエロ本しか入ってないんでしょ。

「お前そーいう誤解を招くような言い方はやめなさい。監督聞いてたら教育的指導喰らうぜ」

「逃げ切ってやるわよ。何か監督ってさ、軽ーく千本ノックとかしそうなイメージあるんだよね」

「何で。」

「さぁ。今花形が良い感じなところです」

「巨人○星読んでたのか、お前。」

「昔のじゃないよ、新釈の方だよ、今連載中のやつ」











何かこうさ…2人で黙々と昼休みにこんな6月のジメジメした中掃除に勤しんでるワケですがね……こんな状況ってさ、アイツ出そうだよね、アイツ。

いや、Gではないよ。スプレー持ってるからG対策はバッチリです。

……こんなとこに限ってデカいのいそうだなぁ……。慎吾に任せて出て行ったら…無理だね。アイツ逆に探し出してからかうよ、私を。











「……なぁ」

「…………」

「おい、!」

「…な、何スか」

「何さっきから動きが鈍いんだよ。あ、あれか? ゴキが出そうだからか?」

「違うよ、Gは平気だよ。G対策はホラ、スプレー完備なんだから!!」

「(G……) 完備って…。そうか、この部室の至る所に設置してあるスプレーはお前がやったのか

「うん。部費から落とした」

「もったいねぇ。こんな5本も6本もいらんだろ」

「いや、アイツはどこから出て来るのか判らんのだよ…。ワトソン君」

「オレ名前ワトソンじゃねぇんだけど。何、シャーロック気取りか。ホームズ気取りか。

「わかってるわよ、そんな事。貴様如きがワトソンの名前を語れると思うな!!!

「ワケわかんねぇよ。あ、その辺にテーピングねぇ?」

「テーピング〜? アンタも随分突発的だね。救急箱の中でしょ」

「救急箱は昨日和己が何か足りないもん補充するとかで持って帰った」

あの人どこまでお母さん精神身についてんのかな。それマネージャーの仕事なのに。和サンに悪いなぁ」

「きっとお前が頼りねぇからだよ」

「うるさいな。大体高校球児なら自分専用のテーピングぐらい持ってるでしょ。」

「ちょうど切れてんだよ」

「あーもう……えっと、テーピング〜っ。出て来ーい」

「お前って痛い子だったんだな。」

「解ってても言っちゃうもんでしょうが、これは!! えーっと……」











その辺に散乱したゴミ袋やら何やらをどけて行く。って言うかこんなとこにテーピングあっても使いたくないな、普通。

そしてゴミ袋のうちの1つを持ち上げた瞬間、アイツがいた。














































「〜〜〜〜〜〜っっ、……!!」


「〜♪ 何が出るかな、何が出るかな♪」

(こっ、コイツ今頃チョコ○ッグかよ!! 似合わねっ!! っつか…どうしっ……!!!!!)

「〜♪ ……? 何お前、後退の練習? 変な体勢だな」

「うっ、う、うるひゃいっ! ちょ、黙ってなさい!!」

「何で声そんな掠れてんだよ。埃そんなに吸い込んだのか?」

「ちっ、違っ! あ、アイツがっ…!!!」

「アイツ? ……あぁ、これ? 蜘蛛じゃ「和サンんんんんんんんん!!!!!!!!!!」




「はっ!? ちょっ、!!!? ――………!!!」
















背後で慎吾の叫び声がするけど気にしない。私は今前に向かって全力疾走しか出来ないんです。後ろの人間気遣ってやるような余裕なんてない。











「かっ、かっ、和サンんん!! 準太ぁあああ!!! り―――お―――っ!!! じ―――んんんんんっ!!!!!」
















ひたすら逃げる。走る、走りまくる。

足を止めたらそこで負けだ。何か知らんけどきっと負けだ。

足止めないけど叫び続ける。そんな時前方に監督発見!!











「かっ、かか、監督ぅぅうう!!」

「何だ、っておい!! 走るなタコ!!」

「タコってまた…!! タコじゃないけど足8本のやつがさっきおりましたぁぁあ!!!」


「は? ……あぁ、蜘蛛「監督ちょっとシャラップでお願いします。」

「っつーか止まれ、!!」

「無理ッス! 止まれません! ノーブレーキなんで!!


「アホが。」











ドゴッ














「おぐぁっ!? ……ちょ、監督…! 生徒にラリアットは駄目っしょ……!!!

「首にはしてねぇよ、腹だ。大丈夫だ、お前は殺しても死なねぇ」

「監督の中で私はどれだけ不死身なんですか。」

「空手やってたなら平気だろ」

「テコンドーっス、監督」

「大して変わらねぇよ」

「いや、全然違いますよ」











そんなささやかな口論をしていると、慎吾が走って来た。待って、何あのスマイル。

何あの全力疾走。











ーっ!!!」

「何、って慎吾ーっ!! その部活でも見せないような笑顔で手に持ってるものは何!! やめて、近付けないで、来んな来んな来んな来んな!!!!!!!!!!

「何言ってんだよ、の好きなもんだぞ」

「やめて。私もうアンタの事信用しないんだから。いささか今まで騙され過ぎてた事に気付いたのよ、私は。

「その体勢やめろよ。オレ今にも蹴られそうじゃん」

「ちょっとでも変な動きしたら蹴り倒してやろうと思ってますから。自己防衛よ。

「おい、俺もう行くぞ」

「監督、待って! 監督が行っちゃったらこの不穏分子が私に牙を剥くんです!!

「面倒くせぇ。俺職員室に顔出し行かなきゃならねぇから行く」

「な、なんてひどい…!! ま、マジで行っちゃったし……。監督あれだよ、絶対私の事嫌ってるよ。さっきラリアットかけられたもん。

「マジかよ。っつーか不穏分子ってオレのことか。」

「そっちかよ。っつーかどっか行って下さい。マジで鳥肌立ってるから。」

ー?」

「「「サーン!」」」











聞き覚えのある、こう…癒してくれる感じな声…。まさしくあの癒し系4人組!!

キャッホウ、来たぜこの瞬間が!! 叫んだ甲斐があったね!!! 取り敢えずヘルプ!! ヘルプミー!!!











「助けてーっ! 悪の大魔王が迫って来ててめっさ恐い!! この爽やか笑顔がありえない!!」

、それオレに失礼だってわかってる?」

「アンタになんて礼儀気遣う必要ないわよ! 準太ーっ! そっからボール投げてーっ! ストレートかシンカーでコイツの頭の中整理してあげて下さい。

「え、ブチ当てろって事スか!?」

「うん! 流石物解りが良いね、準太は!! よっ、エース!!」

「え、エースとか関係ありますか?」

「そこは突っ込まないで。とにかくコイツに日頃の恨みをぶつけるチャンスだよーっ!!」

「え、え!?」

「準太、お前はに従わなくても良いんだぞ」

「か、和サン…」

「和サンんんん!? ちょっ、ひどくねそれ!? 解って、和サンならこの状況を打破して!!!」

「何? 俺良く解んないんだけど……」

「頑張れ、落ち着け! 諦めるな!! 君なら出来ると信じてるから!!!

「そんな信用いらない。」

「ノォオーッ! か、和サンにまで見捨てられたよ……!!! ちょっ、そこの1年ズ! お、お願いします、この悪の大魔王をどっかやって! 根絶やしにして!!!」

「あ、悪の大魔王? 何ですか、それ?」

「え、え?」

利央も迅ももうちょっと人を疑う事を憶えよう。コイツだよ、慎吾だよ!! 普段あんな良い感じな先輩面してるからって騙されちゃ駄目だよ!!! 将来絶対損するって!!!!」

〜〜〜?」











振り向けば、慎吾のドアップ。しまった、すっかり警戒心を忘れていた!!!!











…ふぎゃーっ!!!? ち、近づけてんじゃねぇよ、来ないでってば、やめて!!! 手に握ってるものを始末してからにして!!!」

「慎吾サン、何持ってんスか?」

「ん? の好きなモノー」

「嘘言え!! 私の苦手なもんでしょうが!!!」

「えー、んな事ねぇって」

「その爽やか過ぎる笑顔が逆に恐いんじゃい!!!」











そう言うと私は一目散に走り出した。他にどこに行けば良いんだろ。

後ろで癒し系4人組が何か叫んでいる。ゴメン、今は私自分の身が一番可愛いんでサーン! 後ろに慎吾サン迫ってますよ!!!」











何だとぉぉおおおおっ!!!!!!!????


























っ、ぎゃああああああああ!!!! 来たぁぁああああ!!!! ちょっ、マジで滅されなさいよあんた!!!!!」

、お前これの中身が何だか解ってんのかよ?」

「解るわそんなもんん! あんたが笑顔で持って来たという時点で私には不利益なものよ!!!」

「だから違うって……って速っ!!!!??」

「はっはっは!! 小さい頃から鍛えられてんのよ、これぐらい…!!!」































ヤベェ、キツい。














あれかな、最近ジョギングちょっとサボリ気味だったからかな。

とにかくキツい!!!!!











「はっ、ボール!!(硬球)」











咄嗟に落ちているボールを見つけた私は、僅かな差しかないけどそれを利用し慎吾に向かってボール(硬球)を力の限り投げた。











「っうぅおぉりゃあああああっ!!!!!!!!」

「って、遅いな!!!!」











こんな遅い球なら素手で取っても大丈夫だと判断したようで、左手でパシッと受け止められた。

ち、チクショウっ…! 私投げるの苦手なんだよ!! 蹴る方ならスピード出て飛ぶのに!!!











「……あ、潰れた」

「…え、まさか」

「ちぇー、お前の恐怖に戦(おのの)く顔もうちょっと見たかったんだけどなー」

それってSの心情だよ。って事はやっぱり、それって…」

「蜘蛛。」

「ひぎゃあああああああああああああああぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁああああああああああああぁああっ!!!!!!!」












































結局その後利央に引っ付いて全然離れようとしない私を見兼ねた和サンが慎吾に謝らせようとしたんだけど

慎吾が飄々と謝って来やがるのでイラッときてぎゃーぎゃー暴言を吐き散らかしたところ何故か監督から怒

られそんなに下品な事言ったかなと思いながらも渋々和サンとか準太とかの手で利央から引き離されました。










































絶対に慎吾は許してやるものか。












苦手な虫の話にするつもりでしたが、殆ど部室の掃除話に(掃除もしてないけど)。
ありえないほどに島崎か出張ってますね。準太と利央と迅と和サンをもっと出させる事を目標としていたのに…!!
気が付けば島崎一色です。何故か扱い易いコイツ。キャラ掴みきれているとも言い張れませんが。
監督はあれです、皆名前で呼んでたので名前で呼ばせりゃ良いかな〜、と。
果たして桐青ALLと呼べる代物なのか、これは(島崎じゃん)。