「あー、もう腹立つっ!!!」
「おい、良い加減落ち着けって!」
私は大声で愚痴を言いながら部室のドアを開け放った。後ろで宥めようとする慎吾なんて知らない。
そのドアの音にビックリしたのか、既に部室内にいた利央と迅が驚いた様子でこちらを見て来る。この2人にも愚痴ってやれ!
「ねー、聞いてよ2人共!!」
「ど、どうしたんスか!?」
「真面目に聞かなくても良いぞ。流しとけ」
「慎吾うっさい! 実はね、今日この間の実力テストの英語が返って来たのよ」
「あ、俺も返って来ました! 満点でした!!」
「可愛い顔して腹立つ事言うねこの子は!」
「えー、サンだって英語得意でしょー?」
「苦手じゃないけどさー」
すると視界の端にいる慎吾がククッと小さく笑った。何だよアイツ!!!
それにしてもやっぱり利央は外見と類似して英語は得意科目のようだ。チクショウ、羨ましいな…!
「一部丸々意味取り違えてアウトにしちゃったんだよー…泣きそう」
「えぇ!?」
「意味良く解んなくて英語じゃなくて日本語訳して書いちゃったんだよ…マジどうしよ……かなり点数低い……」
「で、何点だったんですか?」
「……89。」
「良いじゃないですか。」
「ごっ、ごめん迅! そんな怒ると思わなくって!!!」
迅の静かな怒りが目に見えて恐ろしかった。何、ちょっと。般若だったんだけど。
ガチャ、と音がして、全員で振り返ると今度は準太だった。準太にも愚痴っちゃえ!!
「準太ぁー、私英語で死んだ。イングリッシュに殺される」
「英語がどうやって人間殺すんですか。……何やってんスか?」
「の愚痴こぼしを全て聞き流してやろうの会議」
「マジかよ最悪じゃんそれ。聞き流されてんの私。」
「さん、英語のテストでどうかしたんですか?」
「!! じゅ、準太凄いね!! 良く解ったね! そうそう、正解!!!」
「お前それだけの事でハイテンションになり過ぎだろ。」
やっぱりね、後輩にはこーいう素敵なところがあるよね。
エースはやっぱり大事よ、大事。
「さて、皆さんにちょっとした質問がございます」
「何スかいきなり?」
「え、好みのタイプとか訊くワケ?」
「慎吾お前良い加減にしとけよー?」
「で、何スか?」
「あのさ、太陽の色って言われたら何色だと思う?」
「は?」
「太陽の色ですか?」
「うん」
「何で太陽?」
「りっ、利央!? そ、そんな真面目に言わないでよ! テストの問題にあったのよ!!」
「あー、そうなんだー」
「え、どーいう問題だったんスか?」
「良くぞ訊いてくれたね、準太。『the sun of the color』ってのを書き直せってやつだったんだけどさ、皆太陽は何色だと思う?」
「え……赤、とか?」
「赤じゃないんですか?」
「赤だよなぁ」
えっ!! 慎吾はともかく準太と迅まで太陽を赤色って思うワケ!? えー…私1人だけかよ…!!
「えっ、オレンジじゃないのぉ?」
「っ…り、りおー!!!!!」
「うわっ、ちょっ、サン、何すんのぉ!!?」
「だよね! やっぱりオレンジとか黄色だよね!? 大体なんで太陽が赤なんだよ!って感じだよね!!!」
「え、本気で皆赤だと思ってんの…?」
「普通赤だろ」
「お前らこそおかしいんじゃね?」
準太と慎吾は何か好き勝手良い放題だ。え、ホントに皆赤だと思うんだー…。
「何かさ、利央」
「はい?」
「日本人は太陽の色を『赤』だと思ってフランス人は『オレンジ』だと思ってるらしいよ。ティーチャーが言ってた」
「じゃあサンフランス人の血入ってるんじゃないのぉ?」
「かもねぇ…。それだったら嬉しいけどね。利央もじゃない?」
「いや、俺ブラジルだから」
「そ、そうだった…!!!」
そう言えばそうだった。この子はブラジル人のクォーターだった…!!!
っつーか今凄い真面目に返されたよ。何か利央が利央じゃないみたいな…!!
「っつーかちゃっかりそこで点取ってる慎吾が正直私は許せません」
「お前がちゃんと問題読まないのが悪い。別にあんなの個人の感性なんだから先生正解にしてくれるってつってたぜ」
「結局私意味ないじゃん!!!」
「お前俺に散々『あれ問題文に英語で書けとか書いてなかった』って訴えてたけど書いてあったぞ」
「マジで!? うっわー、国語を得意とする私にとってなんて屈辱的なこと…!!!」
「単にお前が文章ちゃんと読まないだけじゃん」
「違うよ、あれ見にくく作ってあるんだよ。っつーか先生が問題の中にスラム○ンクの一部を引用してたからそれに頭が行っちゃって…!!!」
「あー、入ってたなぁ。SakuragiとかRukawaとか」
「そうそう。この間なんてプリントの一部にあの安西先生の有名なシーンが載ってたよ。あの人どんだけ好きなんだか…」
「なー。誰かが訊いてたけどあの教師花道が好きなんだって」
「へー。私断然ミッチーだった!!!」
「あー、あれな。」
私達がそんな話題で盛り上がっていると、他の3人はついていけねぇ…って表情で私達を見ていた。
あれ、スラダン知らないの!?
「み、皆あの大作を知らないの……!!?」
「いや、知ってますよ。っつーか何でそんな方向に話が進むんですか」
「英語の先生に関連性があったんだね、きっと。」
「………」
その後監督に軽く愚痴ったら「俺に言うんじゃねぇ」とテキトーにあしらわれた挙げ句告げ口されそうだったんで黙ってマネージャー業に勤しんでおいた。
……っつーか監督にまで「太陽の色は赤だろ」とバカにされたように言われたのでちょっとヘコんでたり。
信じられない!
あとがき
はい、終了。疲れました…orz
微妙なテンションだなぁ。テストで実際にこんな問題が出たんです。皆「赤」って書いたって言うから…!!!
私はオレンジ派です。でも確かに小さい頃とかってクレヨンで絵を描くと太陽は赤色にしてたんですよね。不思議。
何でか島崎は「先生」とは呼ばずに影では「教師」と呼んでそうです(どんなイメージだ)。
うちの学校の英語の先生がスラダン大好きなので。ヽ (´ー`)┌
2007.10.17
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