あれ……何か視界がボヤけてる…。
心なしか狐の尻尾が1本じゃなくて……9本か。そう、9本に見えるしさ。








…………え!!!?





勢い良くガバッと上半身だけを起こした。
横に狐がいる。と言うか、寝転がっていた私の頭のすぐ横にチョコンと行儀良く座っていたようだ。


「狐!? ってゆーかこれ幻じゃない……!!?」


あんな事、夢幻のものだと思ってたのに!!!

すると上半身だけを起こしていた私の肩を狐がトン、と押して、次の瞬間に私は馬乗りされていた。狐に。


慣用句か何かで狐を馬の背に乗せる、みたいなのがなかったっけ?
って今はそんな事考えているヒマなんてない!!
細い身体してやがるクセに力が異常に強い。羨ましいな、オイ。


「さっきまでの可愛げはどこにいった…!? クソー、やっぱり狐は恩を仇で返す奴な「アンタ、だよね?」





「え」


確かに今、この子が喋ったよね…? この、狐が……?

待て待て、私のこれまでの常識では狐が喋れるだなんて、人語を解するだなんて聞いた事ないよ、初体験。
いつもの私だったら「お初〜」だなんて軽い調子だけども、生憎そんな事言えそうな空気でもない。


「しゃ、喋った……?」
「別に狐が喋っちゃ駄目なんていう法律なんてないでしょ」


狐が喋って法律とか言ってる…?


「…まァでも、初めてでしょ? 狐が喋ってんの聞くなんて」
「当たり前でしょ! つーかどいて!!!」
「……んー…。もっと驚いたとこ見たいんだけどね…。まァ、明日にとっといてあげるよ」


何だこの偉そうな態度の狐は!?
渾身の力で蹴り上げてやろうとしたその瞬間、


「面倒だからゆっくり寝ててね。」


フッと息を吹きかけられ、私の意識はまた途絶えた。








今日はやけに起きてる時間が短くない?





やっと、私の名を呼ぶ声が止んだ。








されるがままに、私は深い深い眠りについた。






「明日になれば総てが解る」という言葉を信じて―――。











絶望ロマンス
















あとがき
遅くなっちゃいましたが3話目…orz
もう週一ペースでしか更新出来ない事実に気付いた罠。
さて、とうとう喋っちゃったんだぜ狐(佐助)。 それにしても短い上に主人公寝まくりじゃないか。orz





2008.06.22