目を覚ますと、そこに狐の姿はなかった。
「や、やっぱり夢だったんだ! 狐が喋るとかそんなワケないもんね! それにしても長い夢だった……自分の妄想壁が愚かしいという以前に恐ろしいわ。」
そうよ、狐が喋ったりとかするワケないじゃん! まったくぅ〜、私ったら何に影響されたのかしらね! 狐モノなんて……駄目だ、幽○白書とかぬ〜○〜しか思い浮かばない…! 自分でも思う。微妙だろ…!! 主役でもないのに…!
ふと時計を見れば、針は長針が3、短針が10辺りを指していた。
「……夢の中で一旦起きたら9時半頃だったのよね……」
いや、まぁ、関係ないだろうけど…うん…。
それにしても何で自分はこんな所で寝ていたのか。思いっきり居間だ。しかもテレビ点けっ放しで。
どこから夢だったのかもサッパリだ。あれ、もしかしたら山に登った事自体? だったら両親が事故で亡くなった事も?
いや、それはないな。夢だったらどんだけ嫌な夢見るんだ私。
「あれ、もう起きちゃったの?」
「ぎゃああああああああああああああああッ!!!!!!」
やっぱり夢じゃなかったようです。
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「面白いねー、は」
「面白くないです。名前で呼ばないで、ファーストネームで呼ばないで。」
「そんなに躍起にならなくても…。それにしても起きるの早いね。普通だったら12時間ぐらいは寝るんだけど」
「あ、アンタ何するつもりだったのよ!?」
「え、知りたい?」
「やっぱり良いですやめて下さい喋らないで私なんか食べたところで美味しくも何もございませんからァァァアアア!!!!!」
「(別に食うなんて言ってないじゃん……あ。)…いやー、美味しいかもよ? さっき舐めたら甘かったし「うそォォオオオオ!!!!?」
「嘘。」
「こっ、このクソ狐…ッ!!」
「…へぇ?」
「嘘です冗談です目を光らせないで。」
恐過ぎだろ、この狐! 何だよ、狐のクセに腹黒かよ!!
キュルルルルルル……
「…ん?」
「あ、俺様だ。いやー、腹減ってんだよねー」
「…そ、そッスか…」
「うん。…ま、一旦山に鳥とか獲って来るから。ちゃんと鍵開けといてね」
「なっ、何で…」
「別に窓割られても良いなら構わないけど」
「…開けときます」
「どーも」
そもそも何故コイツはここに居座るのだろうか。
山に大人しく帰れば良いのに!!
いや、待て。今山に鳥とか獲って来るって言った…?
「ちょっ、ちょっと待って!!」
「何?」
ふわっと揺れた9本の尻尾が気持ち良さそう…じゃなくって!!
「い、生きてる奴を生で食うってコト…?」
「当たり前じゃん。〜、野生なめてるね?」
「なっ、なめてるとかじゃなくって…!」
「夜の方が都合良いんだよ。ほら、鳥って夜目が利かないじゃん? もー、昼間に比べて簡単過ぎて」
「な、何か買って来るから鳥捕まえに行かないで下さい…!!!」
「え?」
だって無駄に残酷なシーンを思い浮かべてしまうのが嫌だもの!
おまけに帰って来た時に口に血が着いてたらどうする!? それこそ私卒倒する!!
とにかく平気でいられる気がしません!!!
「何かその辺のコンビニで買って来るから…」
「俺様も行こうか?」
「来ないで結構!!」
「…キャットフードとかで平気?」
「狐はイヌ科。」
「え!?」
喪失ワールド
あとがき
久々の更新!←
佐助の雰囲気を壊さないよう必死です。主人公はまだいつ食べられるのやらドキドキ状態。よっぽど恐いらしい。
ちなみに書いてて一番楽しかったのは最後のやり取りだったり。友人が勘違いしていたコトから(笑)。
2008.08.13